外科医師は無実です。(乳腺外科医師冤罪事件)その2
私達こまねっとが、この冤罪事件に対して全力を挙げて行動することになったきっかけは下記の有賀智之先生からの1通のメールでした。
ぜひ、皆さまにも読んで頂きたく掲載させて頂きます。有賀先生からの了承は頂いております。
ブログという形態上の関係で「乳腺外科医師 S先生」という表現にさせて頂きますが、有賀先生のこの文面からどうぞ血の通ったS先生の存在を少しでも感じて頂けますことをスタッフ一同心より願っております。
有賀智之先生からのメール「一生に一度のお願い」
私の知っている皆様方へ
一生に一度のお願いなどとは大仰で嘯くような印象を与えるかもしれませんが、これ以上の表現が思いつきませんでしたのでこのまま続けさせていただきます。
お願い事とは東京都足立区の病院で2016年、手術直後の女性患者の胸をなめたなどとして準強制わいせつ罪に問われている医師、乳腺外科医師S先生の件です。彼は私の元同僚で、彼は私の友人でありますので先にそのことをお断りしておきます。
多くの方がご存知の通り一審判決では全員埋まっている四人部屋でそのような行為をおこなう蓋然性の低さや、術後せん妄を起こしていたとの判断に足る状況証拠や科学的合理性、さらには唾液検査、DNA検査の杜撰さ及び科学的整合性の低さから「事件があったとするには合理的疑いを差し挟む余地がある」として無罪が言い渡されました。
ところが先だっての二審判決において東京高裁朝山芳史裁判長(細田啓介裁判長代読)は「被害者が診察だと信頼した状況を利用した犯行で、刑事責任は軽視できない」と述べ懲役2年の実刑判決となりました。
日本医師会、日本医学会は中川俊男先生、門田守人先生も以下の点からこの判決の科学的問題点を指弾しております。
https://www.med.or.jp/nichiionline/article/009494.html
https://www.med.or.jp/nichiionline/article/009505.html
(1)報道等によれば、控訴審判決では、せん妄の診断基準について、学術的にコンセンサスが得られたDSM―5(米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)に当てはめずに、独自の基準でせん妄や幻覚の可能性を否定した医師の見解を採用している
(2)全身麻酔からの回復過程で生じるせん妄や幻覚は、患者にとってはリアルな実体験であり、現実と幻覚との区別がつかなくなることもある。このような場面は全国の医療機関で起こる可能性があり、もし、それが起こった場合には、医師や看護師が献身的にケアに当たっているのが実際であるにもかかわらず、そのことが理解されていない
(3)科学捜査研究所のDNA鑑定等では、①データを鉛筆で書き、消しゴムで消す。②DNAの抽出液を廃棄する③検量線等の検査データを廃棄するなど、通常の検査では考えられない方法がとられるなど、一審の無罪判決の記者会見時でも述べた通り、再現性の乏しい杜撰(ずさん)な検査であるにもかかわらず、検査の信用性を肯定している
またこの事件の根底は『譫妄(せんもう)』があったかどうかでありますがその是非を諮問する専門家として招聘されたのは
弁護側:大西秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授)
https://www.international.saitama-med.ac.jp/detail1/d1-15/
専門:うつ病、適応障害、せん妄などの精神神経疾患全般、および治療経過中に生じた心理・社会的問題などを対象としています。(HPより)
検察側:井原裕氏(獨協医科大学埼玉医療センターこころの診療科教授)
https://www.dokkyomed.ac.jp/hosp-s/department/consultation_organization/105
専門:当科は本邦の大学病院で唯一の「薬に頼らない精神科」です。患者さんは、精神科に薬物療法だけを求めているわけではないはずです。
薬物療法偏重(いわゆる「薬漬け」)の現状に抗して、私どもは一石を投じるべく療養指導・精神療法中心の治療をめざしています。(HPより)
ですが『せん妄の是非に関して』井原医師自身が作成したスライドにデカデカとした文字で「私はせん妄研究の専門家ではない」と書いていたくらいであるにも関わらず、上記(1)の判断が行われた点が最も大きな問題点だと思います。せん妄についての多数の論文を執筆し、せん妄を専門に研究している大学教授(精神科医)である大西先生の証言を一方的に破棄し斯様な判断に至った点に関しては十分な説明がなされておりません。
日本乳癌学会もついに声明を出してくれることとなりましたがその期日は「11月下旬」とのことで、最高裁判所に提出する署名期限は「10月末まで」(11月10日に変更)間に合わず、「日本乳癌学会が声明を出したので署名し易くなる」という展開は期待出来ないこととなります。※2020年10月23日に声明は出されました。
一審でも二審でも署名は提出いたしましたが、この結果ですので署名の効力もどんなもんかという気持ちもありますが、でも他に声を上げるすべがありません。
彼は私の友人の中でも取り立ててまじめな男で、家族を愛する普通の優しいお父ちゃんなのです。もちろん私は彼の友人であり、私が彼の肩を持っているのではないかと思われる向きも至極もっともかと思いますが、本当にS先生が死んでもそんなことをするような人間でないことを他に証明する方法もなく、私の言葉を信じてくださいとお願いする以外にどうもできません。
このようなお願い事をしておきながら、もしかれがそのような行為を行っている確定的な証拠が出てきましたら『現職や現在の公務すべてを辞する』くらいの覚悟はもちろんありますが、他に何の地位も名誉もございませんで、ここに書けるようなお約束事もなくどう皆様に心意を伝えてよいのかこれ以上わからないです。
このようななかで一生に一度のお願いごととで申し訳ないのですが、でき得れば
1) 彼の無実を信じる署名にご一筆いただきたいことと
2) お知り合いに私がこのようなお願い事をして回っていることをどう思うかと周りの方にこのメールを回していただけますでしょうか?
多くの方々の署名のみが最高裁判所に対し我々のできる唯一のアピールとのことで、期日は10月31日(11月10日に変更)と時間があまりございません。
斯様な事件が起きると乳腺外科として安心して医療ができないとか、科学的合理性がない中で推定無罪の原則が守られていないとかいろいろな義憤をお持ちの先生方も多いかと思いますが、わたくしはただただ彼をこの不正義な渦中から救いたく皆々様方のご厚情におすがりするしかないのが現状でございます。
乱筆の長文はなはだ失礼いたしました。本来メールなどでするようなお願いごとでもございませんし、本来拝眉の上ご意向を伺うべき御高名な先生方にも失礼を承知のうえメールでのお願いをさせていただいております。また普段それほどの親交もない私からの不躾なお願いごとに気分を害されました方々もいらっしゃるかと存じますが、そのような節は衷心よりお詫び申し上げますゆえご寛容賜れればと存じます。
2020年10月3日
がん・感染症センター都立駒込病院
外科(乳腺)・遺伝子診療科
有賀智之
**********
有賀先生はご自身でもブログを立ち上げて事件の概要を説明して無罪を訴えてらっしゃいます。
こちらもご覧になってください。
本当は誰も悪くない
本当に本当に、この事件に加害者はいません。
両方ともが被害者で、この裁判で幸せになる人は一人もいません。
どうか、みなさま、よろしくお願いいたします。
こまねっとスタッフ一同
* 署名用紙は下記からダウンロードできます。
【乳腺外科医師】最高裁署名.pdf
セブンイレブン・ネットプリント もご利用いただけます。
プリント予約番号:36347678(2020/11/13 23:59まで有効、以後予約番号は変更されます)
* 「外科医師を守る会」が現場で実際に検証をした写真・問題点などをとてもわかりやすくまとめています。
えん罪事件概要パンフレット.pdf
プリント予約番号:06479101(2020/11/13 23:59まで有効、以後予約番号は変更されます)
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コメント
こまねっとさんからメールがあり、有賀先生の文章を読んだり、私の言葉で事件を人に伝える中でいろんなことを考えました。
正しい裁判の判断で、患者はもちろんのこと、医療者もきちんと守られて、安心安全な医療が行われることを望みます。
病気の診断がついても抗がん剤の選択が増えても、先進医療が発展しても、それだけで病気は直せません。
先生方の情熱と献身的な医療者の皆さんのおかげで、患者は進むべき光の方向を探せると思います。
投稿: ポニョ | 2020-10-14 19:13
ポニョさん、本当にほんとうにそうだと思います。
人生の一大事を私一人では抱えきれなかった。
途方に暮れる私と一緒に、
主治医はしっかりやさしく伴走して支えて下さいました。
看護師さんをはじめとして医療従事者の皆さんが、いつも手を貸して下さいました。
なんとしてでも、真実の判決・無罪を!
投稿: junko | 2020-10-15 22:49
冤罪被害で人生が台無しになることも絶対にあってはなりません。冤罪被害の被害者は守られないのが現実。冤罪被害の被害者がきちんと守られて冤罪被害の被害者の加害者は損害賠償を受けるなり社会的制裁を受けないといけません。冤罪は絶対に許さない。冤罪を引き起こした加害者や司法関係者に社会的制裁を加える制度が必要です。懲戒免職や懲戒処分を受けた冤罪被害者は取り返しのつかないことになってしまうのですから。
投稿: yokotagogo555 | 2023-12-11 11:18